投資界の偉大な二人から学ぶ、誰にでもできる至高の成功法則と人生を豊かにするためのヒント 「投資の大原則」

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 投資の世界を代表する偉大な2人が知恵を合わせて、投資の本質と基本原則を整理した古典的名著です。2人が推奨する年齢別資産配分比率や、投資すべき銘柄なども具体的に書かれています。アインシュタインの「できるだけシンプルに、しかしシンプルすぎないように」と言う原理・原則にならって書かれた、全ての投資家のための必読の書です。

2人の著者について

バートン・マルキール 全米累計200万部を超え、今なお世界中で読み継がれるロングセラー、投資のバイブルと言われる「ウォール街のランダムウォーカー」著者。大統領経済顧問委員会委員、イェール大学ビジネススクール学部長、アメリカン証券取引所理事等を歴任。まさに投資を研究し尽くした投資界の偉大な思想家です。


チャールズ・エリス こちらも世界100万部の超ロングセラー、資産運用の常識を変えた伝説の一冊「敗者のゲーム」著者。世界最大手資産運用会社バンガード社外取締役、イェール大学財団運用委員長、ハーバード・ビジネススクール、イェール大学大学院にて上級運用理論を教えてきた、米国資産運用界の理論的支柱の一人と言われています。


投資の大原則 人生を豊かにするためのヒント 

 偉大な著者2人が伝えたい「投資の大原則」を大きく5つのポイントにまとめ、著者2人の考え方や、投資哲学を紹介します。こらから投資を始める方にも、わかりやすく解説していければと思います。

 

若いうちから貯蓄を始め、続けること

  まず、著者2人が第1章に、多くのページ数を割いてまで読者に伝えたいことは、投資のことではなく、「若いうちから節約に努め、一定額をこつこつと貯めていくこと」です。節約は将来の人生の選択肢を広げ、将来後悔しないですむとし、同時に現在も後悔しない生活を送ることが重要だとしています。

 またお金を貯める秘訣として、「投資で得た利益を再投資(複利)すること」とし、投資したお金に利息がつくだけでなく、その利息にも利息がつく、複利の重要性についても多くの例を用いて書かれていました。著者の言う貯蓄は、銀行預金ではなく、投資を指しています。

 実例として、ベンジャミン・フランクリンが死んだ時、ボストンとフィラデルフィアの両市に5000ドルずつ遺産を送り、遺言には「その資金を投資し、100年後と200年後に公共事業費にしてほしい」としました。100年後、両市は50万ドル受け取り、さらに200年後、再投資し続けた遺産は約2000万ドルとなり、再投資し続けることの凄さがわかります。まさに「お金がお金を生む。そして、お金が生んだお金がまたお金を生む」良い例です。


会社や国の制度を有効に活用すること

 会社の福利厚生制度や、国の退職に向けての制度など、税優遇策をフル活用することで、税金を節約し、それを蓄えて、さらに投資に回すことが、家計運営の大切なポイントとしています。



 要するに日本で言うと、企業型DCiDeCoNISAです。投資の盛んなアメリカでさえ、多くの人がこのようなプランに参加すらしていないようです。日本では近年加入者は増加傾向にあり、iDeCoは約300万人、NISAは2023年で約1900万口座に拡大、5年後には3400万口座を目標としています。これから投資をするなら、新NISAを有効活用しない手はありません。



インデックスファンドで分散投資

 2人の考える投資手段は、「手数料の安いインデックス・ファンドを使う」とても簡単なプランです。インデックス・ファンドは株式市場(または債券市場)のすべてを、銘柄を選ばずに、単純に買えるものです。日経平均なら日本の主要な225社、TOPIXなら東証に上場する約2200社、それぞれの市場を構成するすべての株を買って持つ単純な投資方法です。著書の二人もインデックス・ファンドを使って退職後の資産形成を行っています。

インデックス運用を勧める理由

 市場には、大金融機関や機関投資家など、高学歴でIT技術に優れ、圧倒的な情報収集力を持ち、厳しいトレーニングを受けた優秀なプロが日夜しのぎを削っています。市場とはこうした多くの高度プロフェッショナル同士のセリ判断(売り買い)がぶつかり合う場所で、その結果として決まる市場価格は、まさにプロの投資判断の総意と言えます。個人はいうまでもなく、どんなプロでも、プロの総意である市場価格以上の判断(例えば今は割安だから買う)をし続けることはほとんど不可能に近いと言われています。それならば長期的に右肩上がりに成長する、市場全体を買うインデックス・ファンドに投資しようということです。

 2人合わせて100年の経験があり、プロとして論文を書き続け、一流大学で投資について教え、世界中の投資委員会で仕事をしてきた二人が、口をそろえてインデックス運用をしてきて良かったと言われています。そして「あなたの長期投資はすべてインデックス・ファンドにしておくといい」とも言われています。

二人のお勧めファンド

 条件は2つの広範囲のインデックス・ファンドに限って投資することとし、全世界株式市場対象のインデックス・ファンドと、全債券市場対象のファンドを上げています。主張として株式であれば、全米株式を対象にするファンド(VTI)と、米国を除く全世界株式ファンド(VXUS)を組み合わせるか、シンプルに米国も全て含んだ全世界株式市場を対象にしたインデックス・ファンド(VT)に投資します。


お勧めのファンドは全て米国ETF(上場投資信託)で紹介されています。

ファンド名称コード投資対象銘柄数経費率
バンガード・トータル・ストック・マーケットETFVTI全米株式約42000.03%
バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETFVXUS全世界株式(除く米国)約78000.07%
バンガード・トータル・ワールド・ストックETFVT全世界株式約93000.07%
バンガード・米国トータル・債券市場ETFBND米国債券約102000.03%
バンガード・トータル・インターナショナル債券ETFBNDX米国以外の債券約65000.07%




 これらは全て米国のETF(上場投資信託)です。もちろんNISAでも買えるものもあるのですが、日本で投資するのであれば、同じ投資対象に連動する投資信託がお勧めです。VTの投資対象である全世界株式に連動する指数(インデックス)は「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」です。投資信託だと「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」や、「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」があります。この指数は先進国及び新興国の約50カ国の大型株から小型株まで、約9000銘柄で構成され、全世界の株式の時価総額の約98%をカバーしています。

 また同じ全世界株式で人気なのが「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」です。投資対象はVTと同じ全世界株式なのですが、連動する指数(インデックス)は「MSCI ACWI」です。こちらは、先進国及び新興国の約50カ国の大型株から中型株、約3000銘柄で、世界の株式の時価総額の約85%をカバーしています。

 2つの指数の最大の違いは、構成銘柄に小型株が含まれているかどうかです。より高い分散効果が期待でき、2人の主張通りにいくのなら、FTSEに連動している投資信託ですが、2つの指数のリターンを比較してもほとんど差はありません。それならば信託報酬率(経費率)というコストも考慮して決めることも、2人の投資手段、手数料の安いインデックス・ファンドを使うことになると思います。


ファンド名(全世界株式型の投資信託)運用会社名信託報酬率(%)
eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)三菱UFJ0.05775%以内
楽天・全世界株式インデックス・ファンド楽天0.192%程度
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンドSBI0.1338%程度
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オールカントリー)野村0.05775%
Tracers MSCIオールカントリー・インデックス(全世界株式)日興0.05775%
 



 特に大切な分散投資の原則として、時間差による分散投資、ドル・コスト平均法(定期定額投資)で投資することとしています。一定金額を毎月、長期にわたって投資すると、株価が高い時は少ししか買えず、低い時はたくさん買え、資産の平均取得価格を引き下げてくれる効果があります。リスクが無くなるわけではありませんが、間違った時期に多くの資産を投入する悲劇を防ぐことができます。


年に1度だけ資産配分を見直す

 定期的に年に1度、保有資産全体の中で、株や債券の配分比率をチェックして、当初定めた比率に戻すよう売買します。これをリバランスといい、市場の最悪期においてもリバランスの有効性は認められています。具体的に2人が推奨する、年齢別資産配分計画が書かれています。2人の性格的な違いも垣間見え、とても参考になります。左がバートン・マルキール、右がチャールズ・エリスです。

年齢層株式の比率債券の比率年齢層株式の比率債券の比率
20–30代75–90%25–10%20代–30代100%0%
40–50代65–7535–2540代85–10010–0
60代45–6555–3550代75–8525–15
70代35–5065–5060代70–8030–20
80歳以上20–4080–6070代40–6060–40
80歳以上30–5070–50
 



 バートン・マルキールのアドバイスは、慎重な人向きだという点、チャールズ・エリスのアドバイスは、株の割合が多く市場変動の影響を受けやすいが、長期的にみてリターンを高める目的で作成されています。2人とも共通して「自分が安心していられる範囲以上のリスクはとるべきではない」としています。

 自分の年齢と性格により、市場リスクの許容範囲は違ってきます。毎年の市場価格が気にならない人、とくに若い人にチャーリーは、全資産を株式投資することを勧めています。実際チャーリーもそうしてきて、それに満足し、80代の今でもそうしているようです。

自分の決めた投資方法を守り、市場の動きは気にしない

 今後も投資家にとっては驚くことが続き、市場は上下を繰り返します。今ホットな銘柄やベストな成績の投信を追いかけ、下がれば慌てて投げる投資家は、損失を免れないと言われています。長期的に成功するためには、コストを抑え、相場変動に気を取られず、自分で立てた投資方針をしっかり守っていくことです。

まとめ

 「投資の大原則」に書かれている、投資で長期的に成功する4つカギは、「分散投資」「リバランス」「ドル・コスト平均法」「インデックス・ファンド」です。まさに4つの投資の大原則に基づいて長期方針を立て、しっかりと実行すれば、成功は間違えないとし、そのためには忍耐力継続こそが大切だと締めくくられていました。

 他にもとても興味深い内容として、バートン・マルキールは長年にわたり、50代の投資家の分散投資のメドとして、33%が債券33%が米国株17%が米国以外の先進国17%が新興国株という配分比率がいいと提案しています。

 バートン・マルキールの配分比率で毎年リバランスしたポートフォリオと、100%米国株ポートフォリオの成績を比較したものがあり、米国株の失われた10年と言われる期間(2000年〜2010年)でも、米国株100%はほぼ横ばいなのに対して、分散され、リバランスされたものは、リーマンショックがあったにもかかわらず、約2倍になっています。

 もちろんリバランスの重要性については議論の余地はありませんが、新興国株の比率が17%(50代)という高さに、新興国株の重要性がうかがえます。人気のオルカンでさえ新興国株の組入比率は10%程度です。

 米ゴールドマン・サックスの予想では2050年の世界経済規模ランキングでは、1位は米国を抑えて中国、3位インド、4位インドネシア、8位にブラジルと新興国が台頭しています。また、三菱総合研究所によると、成長が著しいインドなどのグローバルサウス(新興国)のGDPの合計は、50年かけて米国や中国を上回る見込みです。

 最後になりますが「投資の大原則」は、インデックス投資こそが、数ある投資手法の中で唯一、再現性が高く、誰にでもできる、投資手法であると教えてくれます。そして2人の偉大な投資家の人間性や哲学に触れることで、自分の投資戦略にも影響を与えてくれる良書です。本当にシンプルに書かれているので、これから投資を始めてみたいという方にとっては、ぜひ最初の1冊目としてオススメです。

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