お金の価値観が劇的に変わる 「富」に対する普遍的な真理を学び、経済的自由を勝ち取る必読書 サイコロジー・オブ・マネー 

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 なぜ、地味な清掃員が800万ドル(10億円以上)もの遺産を残せたのか?バーモンド州の田舎で生まれ、ガソリンスタンドで25年、清掃員として17年パートタイムで働き、2014年に92歳で亡くなったロナルド・ジェームス・リードの紹介から始まる本書は、まさにお金の価値観を劇的に変えてくれる一冊です。


 結論から言えば、彼は若い時から節約し、お金を貯め、それを優良株に投資するだけのシンプルな手法で、800万ドルの莫大な資産を築き上げました。ちなみに、同じ年に他界したアメリカ人は281万人、そのうち死亡時に800万ドルの純資産を持っていたのは4000人に満たないといいます。ではなぜリードはそれができたのか?それを学ぶことで、一生お金に困らない「富」のマインドセットを手に入れることができます。

投資判断は「いつ、どこで生まれたか」で決まっている

 まず認識しておくことは、人々の生涯にわたる投資判断は、その人が同時代に経験したこと、特に成人して間もない頃の経験に大きく左右されることが明らかになっています。たとえば、株式市場が好調な時代に育った人は、株価低迷の時代に育った人に比べて、その後の人生で株式に投資する額が多いそうです。

 つまり、個人投資家がリスクをどれぐらい負うかは、その人の過去の体験に大きく影響されます。知性でも、教育でも、教養でもなく、「いつ、どこで生まれたか」という偶然の要素が投資の判断を左右していたのです。

 これらはアメリカの研究ですが、日本でもバブル崩壊や株価低迷を経験した50代、60代より、経済の仕組みを知る多感な時期を、アベノミクス相場や、日経平均株価の最高値更新、株価上昇を見てきた20代、30代の方が投資に対するハードルは低いと言えそうです。

複利の魔法 〜黙ってじっと待て〜

 複利の重要性は、多くの本に書かれています。複利は成功の鍵の1つであるのに、多くの人々は見逃してしまいがちです。なぜなら複利の力は実感しづらいからです。本書には「複利の力は、あなたの想像をはるかに上回る」と書かれています。

 世界一の投資家であり、資産家のウォーレン・バフェット、彼の純資産の95%以上は、65歳以降に得られたものです。これは単にバフェットが優れた投資家であったからではなく、「子どもの頃から優れた投資家」であったからという事実です。

 バフェットの成功を読み解く鍵は、彼が4分の3世紀にわたって類まれな投資家であり続けたことにあります。バフェットが本格的に投資を始めたのは10歳、若い頃に経済的基盤を築き、長期間にわたって投資し続け、本書の執筆時点で純資産は845億ドル、そのうち842億ドルが50歳以降に増えたものです。さらにそのうち815億ドルは60歳以降に増えたものです。つまり成功の最大の要因は「時間」であり、それこそが「複利」なのです。




 複利は、何年もかけて元手を増やせる場合にのみ効果を発揮します。複利の恩恵を存分に受けるには、必然的に起きる「予測できない浮き沈み」を乗り越える必要があります。著者は「お金で成功するために必要なこと」を一言で表すならば、それは「生き延びること」といいます。つまり複利を享受するためには、長期間、息絶えることなく、退場させられることもなく、諦めずに頑張れるかどうかです。

お金が人生にもたらす最大の価値は「自由」

 人間に幸福感をもたらす信頼性の高い要因は、「人生を自分でコントロールしている」というはっきりとした感覚があることだと言います。好きなときに、好きな人と、好きなことができる生活を送れることが人を幸せにします。そしてお金は、人生の選択肢を増やし、自分の時間をコントロールできるようにしてくれます。

 現代人は、豊かさと引き換えに自由を失っている(自分の時間をコントロールできなくなっている)と著者はいいます。富や所得が増え、かつてないほど豊かになった人々が、あまり幸せを感じていないのは、幸福度に大きな影響を与える時間を好きに使えていないからです。

 それでもなぜ人は、時間(お金)を犠牲にしてでも、高級車に乗り、高級時計を身につけ、大きな家に住み、富を誇示するのか。それは人は、「私は他人に好かれ、称賛されるべき人間だ」というシグナルを発しようとし、富を求める生き物だからです。皮肉なことに、金に物を言わせて高級品を買っても、本人が思っているほど他人からの尊敬や称賛は得られないものです。

 人は、目に見えるものから誰かの豊かさを判断しようとします。それが、目の前にある唯一の情報だからです。誰かの経済的な成功を測るとき、それは車、家、インスタの写真だったり外見に頼ることになります。しかし実際には、真の富とは目に見えないものなのです。

 つまり富とは、購入しなかった高級車であったり、買わなかったダイヤモンド、身につけてない時計、着ていない服、乗らなかったファーストクラスであり、「目に見えるものに変換されていない金融資産」のことなのです。しかし残念ながら、私たちは富をそうとはとらえてはいません。目に見えないお金を想像するのは簡単ではないからです。

投資に関する最も賢明な行動は「誤りの余地」を持たせること

 バフェットの師であり、伝説の投資家ベンジャミン・グレアムは、「安全域」という概念を提唱したことで知られています。グレアムはインタビューで安全域を設ける目的は、予測を不要にすることだと述べられています。安全域(つまり「誤りの余地」)を設けておくことは、確実性ではなく偶然性に支配された世界(株式市場)を、安全に進み続けるための唯一の有効な手段なのです。

 誤りの余地をつくることは、リスクをあまり取ろうとしない人や、自信がない人のための消極的な方法だと思われがちですが、適切に使えば全く逆の効果があると著者はいいます。誤りの余地を残しておく人ほど、どんなことにも耐えやすくなり、この持久力があるからこそ、時間を味方につけ、長期間にわたって株式市場で勝負し続けることができるのです。最大の利益を手にする機会はめったに起こりません。なぜなら発生する頻度が少ないし、複利の効果が生じるには時間がかかるからです。

 著者は「もっとも重要な計画は、計画通りに進まない可能性を想定した計画」だとし、誤りの余地があれば、起こり得る出来事の想定範囲を広げられると言います。これは私たちが直面するもっとも厄介な出来事「想像もつかないような事態」からも身を守ってくれます。

投資の神様が嫌う者

 投資の神様は、代償を支払わずにリターンを求めるものを嫌います。そしてその代償とは、お金だけではなく、ボラティリティや恐怖、疑念、不確実性、後悔などに耐えることだと言います。これらは実際に投資を始めてリアルタイムでさまざまな問題にぶち当たるまでは、その存在に気づかないものばかりです。

 ディズニーランドで最高の思い出を作るにも入場料が必要なように、株式相場でリターンを得るにも入場料、つまり代償が必要です。市場リターンは決して無料では得られないし、今後もそうなることはありません。何かを得るためには、その代償が何かを見極め、それを支払うことが必要です。そして「市場の入場料には支払うだけの価値がある」ということです。

告白 私の投資に対する考え方

 最後の章には、モーガン・ハウセル本人の投資の考え方が書かれています。著者も20代の頃はバークシャー、P&Gなど大企業を中心に25銘柄ほどの個別株を保有していたそうです。それでも現在は低コストのインデックスファンドだけを保有するようになったそうです。

 著者自身、投資に対する哲学を一言で表すなら、「投資では、自分の目標を達成できる確率がもっとも高い戦略を選ぶことだ」と言います。そしてそれは、低コストのインデックスファンドにドルコスト平均法で投資することが、ほとんどの人にとって長期的に成功する確率がもっとも高い投資法だと言います。

 著者と妻は給料日ごとに、目標額は決めず、使ったあとに残った分を、米国株と海外株を組み合わせたインデックスファンドに投資しています。そしてそれが資産運用の全てだそうです。純資産は、住宅と、当座預金と、バンガード社のインデックスファンドのみで、これ以上複雑なものを必要としていないようです。

 投資戦略で著者が頼りにしているのは、高い貯蓄率忍耐力、そして「世界経済は今後数十年にわたって成長を続ける」という楽観主義です。投資活動のほぼすべてを、この3つを考えることに費やすそうです。将来的に投資戦略を変えることはあっても、経済的自立を何よりも大切にするという目標は変わらないと締めくくられています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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